漫画から全てを教わったよブッコちゃん

とかまでは言わないけど、漫画読んで知った事がいっぱいですよ。

マンガ・エロティクス・エフ (Vol.34(2005))

マンガ・エロティクス・エフ (Vol.34(2005))

一緒に遭難したいひと 2 (ワイドKC)

一緒に遭難したいひと 2 (ワイドKC)

西村しのぶさん、ようやく2巻出たー!作中で得た豆知識。動物の遺体などを博物館に送ると、程度がいいと標本にして展示してくれるそうな!

で、エロティクスF。「無限の住人」の沙村広明さんの『ブラッドハーレーの馬車』2話目。もうはっきりいって残酷で容赦ない。希望も何もない。目を背けたい。それなのにお話としてとても美しい。
孤児院の13,4の美しい少女を毎年一人づつ選び、歌劇団を営む財閥のブラッドハーレー家が引き取る。と夢を与えて、実は刑務所の囚人達の慰み者として連れて行かれる。それは秘密裏に行われるが、政府が囚人達の暴動を抑制するために執行された暗黙のルール。そういう設定。夢見ていた少女達が一転、地獄絵図を体験する。数十人の囚人達に次々と弄ばれる少女。残忍なシーンは直接出てこないけれど、日に日に怪我が増え、歩くのもままならなくなり、衰弱していく少女の姿から容易に想像できる。
2話目の少女は、隣の部屋に居る自分と同じ孤児院にいた少女との会話を心の拠り所として、日々を耐え抜いている。隣の少女は「所長の専属」としているので1年経ってもこうしているが、一緒に来たほかの娘達は今どうしているのか判らない。隣の少女は更に「1週間、この責め苦を耐え抜いたらブラッドハーレー家に養女として引き取られたという話を聞いた」とも。その言葉を頼りに他の娘達が次々と亡くなっていく中、6日目まで生きる少女。それでも精神も肉体も磨り減った少女は7日目の朝、ベッドの上で冷たくなっていた。その旨を所長に伝える刑務所の所員。少女の遺体の処分を言い渡す所長は老婆だった。そして運ばれていく少女の亡骸。徐々にロングになる画面では少女の居た部屋の扉から中を映し、その建物を映す。少女の部屋は3階の角部屋。ベッドの置いてある壁の向こうは虚空。ここでザーと血の気が引く。少女がずっと会話をして一筋の心の置き所だった「隣の少女」は全て壊れかけた少女の幻想だったのだ、と2段構えで気がつかされる。あまりにもやるせなく、あまりにも上手い。